大判例

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広島高等裁判所 昭和28年(う)141号 判決

窃盗犯人がその現行中又は現行の機会延長の状態において賍物の取還を拒み又は逮捕を免れ若しくは罪跡を湮滅するため暴行又は脅追を為し因つて人を傷害したときは刑法第二四〇条前段の強盗傷人罪を構成することは所論のとおりである。そして本件は原判決の挙示する証拠(判示第一及び第二事実干係)によると、被告人は判示第一記載の日時場所において鶴我重明所有のラヂオ一台を窃取し之を所持して徘回中判示第二記載の日時場所即ち右窃取をした時から僅かに三〇分位しか経過せず且つ右窃盗現場から約一粁を離れているに過ぎない場所で、当時被害者の鶴我重明が被害現場からの電話連絡により急遽自転車で自宅から右現場へ馳け付けるのに出会い、同人に前記ラヂオを所持しているのを発見され(その際被告人は氏名不詳の男一名と共にこれを所持していた)取り戻されそうになつたのでその取還を防ぎ且つ逮捕を免れるため同人に対し判示第二に記載する如く暴行を加え傷害は負はしめるに至つたものであることが認められるから右傷害は前記窃盗と無干係な別個の機会に与えたものではなく、右の窃盗の機会延長の状態において与へたものと解すべきものであるから、これを包括して強盗傷人罪を以て問擬するのが正当であると云はねばならない。然るに原判決は右の強盗殺人罪の起訴に対しこれを窃盗罪と傷害罪の二罪として認定処断してゐるのは所論のように事実を誤認したか又は法令の解釈適用を誤つた違法があるに帰し、右は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決はこの点において破棄を免れない。

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